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『公正な裁判官』

   
L.N.トルストイ(作)/河葉田たか子(訳)
フィリップ・キイー(画)/銀の雫

「アンナ・カレーニナ」、「戦争と平和」などの長編小説で有名な作家、ロシアの文豪トルストイの作品です。人々がものごとを筋道たてて深く考えることができるようになるには、教育が重要だと考え、農村の子供の教育に力を注いだそうです。古いロシアの民話や外国の童話などを題材にして昔話や童話などを数多く書きました。

ロシアでは昔話や童話が豊富です。日本で紹介されて親しまれているのが「おおきなかぶ」、「てぶくろ」、「森は生きている」、「イワンのばか」などは子供から大人までご存知の方はおおいことでしょう。

今回の「公正な裁判官」は、優秀な裁判官のお話です。たちどころに事実を見つけ公正に判決を下すという裁判官のお話です。トルストイが作者で難そうで、その上つかみ所のない話と思いきや、この話しの展開は子供でもきっと楽しめるでしょう。日本で言うなら「遠山の金さん」といったあたりで、裁判官の判決にはなるほどと頷けるところです。

アルジェリアのお話しです。この国に優秀な裁判官がいるという噂を聞いたバウアカス国王は、それを確かめるために商人に変装して街に出かけました。馬に乗ったバウアカス王は、物乞いの男に「馬に乗せてくれ」と頼まれます。目的地まで乗せて運んであげたのに、物乞いは馬から降りようとせず、「この馬は自分の馬だ」と言い出す始末。困り果てたバウアカス王は、噂の裁判官に判断してもらうことにしました。

他に2組の先客がありました。まず、学者と農夫の争いごとでした。妻をめぐって、学者と農夫のどちらとも、自分の妻だと言い張るのです。もう一組は、肉屋と油屋。お金がどちらのものか争っているのです。それにバウアカス王の諍い事。

3つの裁判をどう公正にいさめるのかが面白いところです。バウアカス王は、馬の所有権をめぐって納得のいく答えを貰いました。何故判ったのかと裁判官に尋ねたところ、数匹の馬の中から所有している馬を探すのはたやすい事、しかし馬が飼い主を選ふとなれば人為的な支配は不可能ということを裁判官は承知の上で、馬と飼い主の関係を知る事が出来たというわけです。

【紹介者あとがき】

物の本質や人としての有るべき思慮があれば、誰でも公正な判断ができるという事例のようです。「公正な裁判官」は、『空飛ぶかえるの旅行家』 F.M.ガルシンの中に収められています。

まま
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