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『つな引きのお祭り』

   
北村皆雄(文)/関戸勇(写真)/高頭祥八(絵)/福音館書店

お祭りのつな引きは、スポーツのつな引きと違って特別な意味が込められているらしい、それがどんな意味なのか、昔からのお祭りの中で人々はどんな事を考えながら引いたのだろうか、と疑問を持った作者は、日本各地のつな引きを訪ねてみました。

秋田県西仙北町刈和野に古くから伝わるつなひきは、旧正月の雪の中で行われます。6000人の町が上町と下町の二手に分かれて年に一度のつなひきに向けて一致団結して、今年は勝つぞと対抗意識もあらわに燃え上がります。

つな引きの準備は、一ヶ月前から始まります。グミ(細いつな)を編むのは、老人と婦人達。長年の経験が生かされる大切な工程であり、老人は祭りを支える縁の下の力持なのです。グミから中づなになり、更に寄り合わされて太いつなになるまで、町中の人が力を出し合って作るのです。上町のオづなは64メートル、下町のメづなは50メートル。メづなの先のワッカにオづなを差し込んで2本のつなが一本になるのです。お祭りの当日に一本に結び合わされて上町の3000人と下町の3000人が引き合うのです。

昔は勝った方が豊作になるといわれていました。しかし現在では、上町が勝てば豊作、下町が勝てばおコメの値段が上がるとなっていて、どちらが勝っても農民には都合が良いのだが、負けてはならぬと気合が入るお祭りなのです。

田舎の伝統行事は日本の各地に残っています。雪の中であったり海の中のつなひきであったり、十五夜の月夜の下であるとか場所や時は様々です。でも共通している事は、つなをヘビと見立てヘビの持つ生命力の強さや特別な力を授かりたいと願っている事なのです。ヘビには人間の力を超えた特別な力があり神秘的なものとして、その土地の神様となって自然を支配し影響を及ぼすと考えられていたようです。稲作をしてきた民族であるからこそ、つなひきは継承されてきたのです。豊作を願い、人々の繁栄を願うつなひきは、勝ち負けだけでなく地域の力の団結力、そして戦うことで発生する切磋琢磨の精神も一緒に生み出しているのでしょう。

【紹介者あとがき】

つなを引き合う、ただそれだけなのに、農民の生活の全てがつな引きに結び付いているようです。農業を営む人にとっては、隣人と力をあわせて暮らす事が必須条件です。個性尊重よりも地域との一体化が尊ばれている農民の営みの中で、一年を通じて伝統行事にかけることが楽しみでもあり連帯化の強化であったのかもしれません。地域の行事が、過疎による人手の無さで消えてしまう事や、地域行事に参加することが煩わしいと感じる若者の増加が、ありません様にと願わずにいられません。

まま
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