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『光り降る音』

   
かんのゆうこ(文)/東儀秀樹(絵)/講談社

月の出る夜に白うさぎは森の中で、心しずかに耳を傾けていました。

星の秘密のこぼれる音…
花の想いのひらく音…
風の心のゆれる音…

どれも音の無いものなのに、白うさぎの心にはしっかりと聞こえるのです。
ある夜、煌めく光が降りそそぎました。そこには鳳凰(ほうおう)のはばたきと一緒に天から差し込む光の音があったのです。鳳凰の放つ光を音として感じる不思議な白うさぎ。森に住む動物達は、この清らかな光の音を聞くことができないので、白うさぎを嘘つきだと邪険にするのです。

そこで鳳凰は、白うさぎの汚名返上のために我が身を雅楽の『笙(しょう)』に変え、『天下からの光の音』として優しい心を白うさぎに奏でてもらったのです。

宮中儀式や神社仏閣の祭典、平安貴族のたしなみとして定着して以来、そのままの音色や形式を変えることなく現在まで伝えられているのが雅楽です。『笙(しょう)』『篳篥(ひちりき)』『龍笛(りゅうてき)』の三つが演奏の中心となり、それぞれが天・地・空を表現するとされ、それらの楽器の融合が宇宙を表現されているのです。

この絵本は、『笙(しょう)』をモチーフとしてかんのゆうこ氏が書いたものに、雅楽奏者として名高い東儀秀樹氏の希望により東儀氏が初めての絵本の挿絵を描かれて、完成したものです。聞こえる事の無い『光』の音を白うさぎが感じたように、この絵本の物語の中に『笙(しょう)』の奏でる音色が流れているのです。いかようにも姿を変える鳳凰のはばたきから零れ落ちる光が、私たちの心の中に何時までも輝き続けているようです。

【紹介者あとがき】

白うさぎと鳳凰の幻想的な世界観に、心の邪悪な欲望を消すが如くあれと無に通じる観念があるような気がしてなりません。この絵本の幻想を想像の構築と仮定するには、壮大な宇宙さえも否定する覚悟が必要かもしれません。それくらい、なにかしら天と地と空に感じる心が芽生えてきそうです。東儀秀樹氏の絵が素敵でした。全てに完璧な人なのでしょうか…。

まま
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