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『おばけリンゴ』

   
ヤーノシュ(作)/やがわ すみこ(訳)/福音館書店

ワルターの持っている1本のリンゴの木は、まだ一個の実もつけたことがありません。ワルターは、春になると隣の庭のリンゴの花を見ては哀しく思い、秋になると他所のリンゴの実を羨ましく眺めていました。リンゴがいっぱい入った籠を担ぐ人を見ると、自分の木が一個のリンゴもつけない哀しみが、どんどん大きくなっていくのでした。

どうしたものか・・・。ワルターは心をこめて祈ることにしました。
『ひとつでいいから、うちの木にもリンゴがなりますように。そんなにりっぱな実でなくてもいいのです。ひとつでいいから欲しいのです。』と、夜のベッドの中で祈りました。

願いは叶い、春に白い花が一つ咲きました。ちいさな花を見つけたワルターは、幸せの絶頂。それから夜も昼も花と共に過ごしたのです。風が吹けば手で囲い、強い日差しには手で覆って影をつくりと、それはもう大事に花を守ったのです。

秋になり小さな花が実になるとワルターのリンゴへの愛情はなおさら増していきます。日増しに大きくなるリンゴを収穫もせず見守るばかりでした。

収穫して売りに行こうと決心したときのリンゴの大きさは、貨車にも積めないほ
どの大きさになっていました。

市場では、おばけリンゴとか偽物リンゴと言われ、誰も買ってくれませんでした。大きくなりすぎたオバケリンゴの結末はいかに・・・。

【紹介者あとがき】

このお話しは7カ国で発行されており、子供も大人も楽しめる絵本です。「むかし、あるところに・・・」で始まるこのお話は古典的な絵本のようであり、意外な場面転換も楽しめます。ワルターのリンゴに寄せる期待をリンゴの大きさで象徴してあり、それはまるで現在の子育てに伴う子供への期待度にも似ているかのようです。「小さなリンゴが一つ実ればいい・・・。」という小さな願いが、一つの花を見た途端に喜びのあまり過保護になっていくのです。風が吹けば風に立ち向かう力を、陽射しが強ければ枯れない力を摘みとってしまったワルターに、子育てと重ね合わせてみましょうか。

それにしてもリンゴには『一日一個のリンゴは医者を遠ざける』の言葉もあります。魔法使いのリンゴではないけど、リンゴがあるだけで元気になってきそうです。

まま
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